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「……なんで一緒に居たのさ?」
「歩いていたら、あの野郎が来て『話したいことが有るんだ』とか言い出してな」
「『場所移しても良いかな?』 とか言い出して面倒だからそこで言え! って言ったらチンタラチンタラ……ぶつぶつ何か言ってるだけでよ」
「そこに僕が来た、と」
……話を聞く限り、告白でもしようとしてたんじゃないか?
本当は場所を変える間に覚悟を決めるつもりだった、とか。
でも計画が失敗したから焦って、そこに僕が来たから話し掛けることで時間稼ぎをしたって所?
コイツ……ヘタレだったのか。
とりあえず推測だけど、笹塚に伝えてみよう。
――
考えを伝えた途端、心底嫌そうな表情を見せた笹塚。
般若の方がまだ可愛いげがあるよその表情。
「うげ、気持ちわりぃ……おい裕樹」
「何?」
「逃げるぞ」
そう言うが早いか、僕の腕をがっしりと掴んで走り出す笹塚。引っ張られる僕。様子を伺っていたらしい如月(ストーカー野郎)。
突然の事に豆鉄砲でも喰らったかの様な表情を浮かべた後、ハッとしたように追い掛けてきた。
「ま、待ってよ笹塚さん! どうしたの突然!?」
気持ち悪い! 凄く必死な顔で追い掛けてくる!
腕を笹塚に掴まれたまま、前を向き本気で走る。
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