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走っていると、笹塚の息が段々と上がって来た。
チラッと後ろを見ると、距離が短くなっているのが分かる。
アイツ、体育も5だったっけ……
周りに助けを求めようかとも思ったけれど、今日に限って誰も居ない。
そのまましばらく走り続け、僕も息が切れてくると同時に如月の手がこちらに伸びる。
「うわっ?!」
突然、如月はバランスを崩し、奴の伸びていた手は僕の制服を掴んだ。
しまった!
そう思ったのも束の間、奴に引っ張られる様にバランスを崩し、僕も、僕の腕を掴んでいた笹塚も地面に倒れ込んだ。
「ッ……このストーカー野郎、が……」
直ぐに如月を睨み付けた笹塚は何かを見て絶句した。僕もつられて後ろを見る。
「……なんだこれ!?」
何と、地面が光り輝き、その中に如月が半分くらい埋まり混んでいたのだ。
よく分からないが、今のこの状態はマズイ! 制服を掴まれているのだ。このままだと巻き込まれる!
「このっ! 放せ! 」
語気を荒くし、抵抗するが背中を掴まれているため届かない。
「裕樹を放せ! この野郎!」
笹塚は僕と同じ考えに至ったのか、如月の手を蹴り始めた。
「い、痛っ! や、止めてよっ!」
「なっ?! うわっ!」
しかし、抵抗する如月の手に足を払われ笹塚は転んでしまった。
「っ畜生!」
笹塚の叫び声は誰にも届かず、結城裕樹、如月幸人、笹塚桜の三人の姿は消え去った。
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