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「こ、ここは……?」
目の前の光が治まり瞑っていた目を開けると、そこに立っていたのは絶世の美青年だった。
目を開いた少女はその青年の姿にドキドキしながらも近付き、声を掛ける。
「は、初めまして。私はアリステリア・ハーツ・ファルシオンと言います。貴方が勇者様でしょうか?」
「え? あ、僕は如月 幸人です。……あの、勇者、って何のこと?」
目の前で首を傾げる如月にアリステリアは疑問を浮かべる。
(彼は自身の使命を知らないのでしょうか……?)
文献に由れば儀式によって呼び出された者は、世界の意思からその使命と力の素質を授かっているとされる。
だが、如月がそれらを授かっている様子が無い。
(まさか、彼は勇者ではないのですか……!?)
少女は焦った。年々凶暴になるモンスターに、魔王と言う存在が真しやかに囁かれてから既に三年が過ぎていた。
モンスターによる被害が増えるなか、着実に進めてきた勇者召喚の儀の準備。その準備には二年の月日が掛かったのだ。
(もし彼が勇者で無ければ、この世界は終り……)
最早、最初とは違った意味でドキドキしている。
アリステリアはそこまで考えて不安を投げ捨てるかの様に次なる希望に賭けた。
(いえ、まだ覚醒の儀が在ります……!)
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