悪夢のような一夜

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もうなんでこんなところに来なくちゃいけないんだ。 こんな荒んでいるところに来る人の気が知れない。 いや、他の人の思惑なんてどうでも良い。 とにかくあたしはここに来るようなタイプじゃないんだよ。 ママ、大介、本当にごめんね。 すぐに帰るから、本当にごめんね。 心の中で愛しい母親と彼氏に謝罪した。 何故なら今日は典果の家に泊まると言っていたのに、着替えさせられるは、濃い化粧はさせるはで、抵抗するも虚しく結局都内で一番大きいと言われているここのクラブ。 拉致に近い状態で連れられて来られたのだから、涙しか出ない。 借りたハイヒールは履き慣れなくて、借りたワンピースはしゃがんだだけで下着が見えそう。 全身がもう違和感しか感じない。 「ひゃっ!?」 二人の後ろについて歩いていると、急に肩を掴まれた。 振り向くとストリート系の服装をしたチャラチャラしたお兄さん。 「ねぇ、一緒に飲まない?」 「は、離してくださいっ」 「なに?ちょっと気強い感じの子?余計好きだなぁ、ねぇ、奢るからどう?」 な、なんて気持ち悪いんだ。 ああ、本当にもう帰りたいっ。
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