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こんなところで時間を使ってるほど、余裕のある人間じゃない。
お母さんはもう寝ているだろうし、この格好は見られなくて済む。
翌朝に泊まりが無しになったって言ったらいいや。
「じゃ、とりあえずお酒だけでも飲みに行こ?ね、それはいいでしょ?」
「え?でもあたし年齢…」
「誰も見てないよ、そんなの」
そんなものなの?
でもせっかく典果の誕生日だ、こんな風に気を遣わせるのはさすがに申し訳なかったりする。
0時までって決めたし、あたしも腹を括るか。
「分かった、時間までは思う存分付き合うよ」
「鈴のそういうところ大好きっ!」
多香子に抱きつかれ、典果に腕を引っ張られて、あたしたちはトイレを出た。
三人で手を繋いでぎゅうぎゅうな人混みを掻き分け、やっとのことで辿り着いたバーカウンター。
窒息って、ああいうことだったんだ。
本当にろくでもない初体験ばかりさせてもらえる、嫌なところだ。
お酒を買うのにも並ぶこのしんどさ、ため息しか出ないよ。
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