悪夢のような一夜

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「何にされますか?」 黒いスーツを着た如何にも怪しそうなオーラぷんぷんのバーテンダー、あたし達の顔を流れるようにさっと見た。 「テキーラ3杯で」 お金を出す多香子はしれっと可笑しな単語を発して。 「はっ?!」 「鈴は黙ってて」 止めようとするあたしの手を掴んできた典果。 もうまるでイジメのような光景。 テキーラって、すごい濃いやつじゃないの? そんな濃いの飲んだことないのに、大丈夫なのかあたし。 「もう、1杯だけだからね…」 「分かったわよ」 黄色い液体を小さなカップに注ぎながらも、バーテンダーはどこかにアイコンタクトしているように見えて。 まさか年齢のことバレたのかな? …どうしよう。 学校に連絡行かれたら本当に人生の終わりだ。 「ねぇ、典果!年齢本当にバレてないよねっ?」 「もう大丈夫だって!一々バーテンがそんな事気にしてたら仕事にならないから」 …それもそうか。 変に納得してしまっている間に、目の前に並べられていたお酒。 しかもなぜかライムが乗っている。 多香子はあたしと典果それぞれに渡してから、自分の分を取った。 「このライムはどうするの?」 「飲んだ後にかじるんだよ。あ、言っとくけど一気飲みだからね?じゃなきゃ不味いから」 まずいって不味いの? それともやばいってことなの? …さっぱり分からない。
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