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――カチャッ!
「……海さん?」
と恐る恐る声をかける。
アパートのドアは開いていた。
海さんは2つある片方の部屋で、明かりもつけないで沈んでいた。
手にしているのは、私と通話していた携帯と一冊の小さなノート。
「理香、ちゃん?」
私に気がついた海さんが、死んだような目をこちらに向けた。
昨日から、それともその前から何も食べていないのか、覇気が見られない。
「和ね、一週間前に自殺したの! その時遺書とこのノートがあって。でも私ね、その時はどうしてもこのノートに目を通すことが出来なかったの」
海さんはノートを大事そうに抱えている。
そしてその虚ろな瞳をこちらに向けて、ノートを差し出してきた。
「……自殺の死因は何ですか?」
刹那がそのノートを受け取りながら、低い声でそう言った。
眉間に皺を寄せたまま、ノートを開く。
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