1855人が本棚に入れています
本棚に追加
「え、いるの? 色気」
「いらねーの?」
「いらないでしょ?」
「そー、か?」
「そーでしょ。お互い、気を遣い合うような間柄でもないんだし」
私の言葉に、やっと納得したような顔をして長瀬が笑う。
「そーいや、そーだな」
「でしょ」
ホームに、電車の到着を告げるベルが鳴り響く。
それから間もなく滑り込んできた車両に、並んで乗り込んだ。
「昼からビール、ね。俺ららしくていい休日だな」
「……そう思うよ、ほんと」
そう言って、笑い合う。
長瀬の笑顔が妙に優しく感じて、心が少し、あたたかくなった。
こうして、いつもと違う休日が、いつものように始まった。
.
最初のコメントを投稿しよう!