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「遅い」
「……」
第一声が、それですか。
相変わらずな長瀬に、返事をする気も起きなかった。
「俺を待たせるとはいい身分だな」
「……別に遅れてないでしょ。ほら、時間ぴったりだし」
そもそも、長瀬が既に到着していたこと自体が、意外だったのだ。
一瞬、私が遅れたのかとこっそり時計を確認して、胸を撫で下ろす。
が、次の瞬間に溜息をついたのは長瀬の方だった。
「俺が遅いっつったら遅いんだよ。馬鹿」
「……」
うわあ。
何だろう、この気持ち。
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