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うん、問わなくてもわかってる。
初っ端から腹立つわ、この男。
思いっきり顔を歪めた私の額に、長瀬の手が伸びてきた。
殴られる? ……という恐怖に思わず目を閉じて身を縮めると、ぺち、と小さな音と共に軽い衝撃が訪れた。
そっと手を伸ばすと、押し付けられたのは切符だと気付く。
「行くぞ」
返事を待たずに踵を返した長瀬に、小さく溜息。
「……はいはい」
気のない了承の言葉を返して、私はその背中を追った。
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