第6話

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ぬるま湯に浸かっているみたいに頭の芯から溶けそうだ。 この感覚は─何だろう。 真っ暗で何も見えない。 頬の辺りが少し熱くて…痛痒い。 私はどうしたのだろうか。 『…海っ!』 《 コッコッ 》っという音が、微かに聞こえて ベットの脇の窓際のカーテンから漏れる光が私の暗闇を次第に支配し照らしていく。 『~美海っ!!美海っ!?』 「…っ?」 重い瞼をこじ開けると、まだ真夜中のように部屋が暗くて。 ふっと胸元の位置にある白いカーテンを開けると、月明かりの逆光でシルエット越しに黒い人影のようなものが見えた。 私の名前を呼んでいる。 庭の大きな木から美海の部屋のベランダに、軽く、<ヒョイッ>とよじ登ってくるのが見えた。 なっ、何で…。 何故だろう。 なぜか懐かしい。 …前にも確か─。 私が、6歳の時、風邪をこじらせて6日間程寝込んでいた時─ 「…ゴホッ、ゴホゴホッ」 胸が苦しいっ そう─。 高熱のせいで、頭痛が続いて食欲も全然なくて寝たきりだった、あの時は─。 …ずっと、一人ぼっちで。 部屋に閉じこもっていた。 父は私のことなんか心配していないし、母もいない。 何もかも、本当にどうでもよかった。 別に早く治ったとしても、学校でもいじめられるばかり。 皆にからかわれるだけのの毎日。 苦い薬を飲んだふりをして、粉を窓から捨てた。 中々体調が戻らないのは少し辛いけど でも、寝ているだけでいいなんて、 …最高だと、思っていたあの頃 誰とも話をしなくていい、誰の顔色も窺わなくていい。 自分の身体だけがダルイだけで心は痛くならない事が嬉しくもあった。 自分は生まれてきて良かったのか、生きていても楽しい事なんて一つもないのに。 …そんなことを毎日毎日思っていた
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