第6話

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このままずっと、ずっと薬なんて飲まずに、 風邪を拗らせて死んでしまってもいいかもしれない。 布団にもぐりながら、漠然とそんな事を考えていた6歳のあの日― 正午の太陽の光が、私の部屋を燦々と降り注ぐあまりの眩しさに目を覚ました。 「…んっ」 どうやら、カーテンをするのを忘れてしまっていたらしい。 体調は、薬も飲んでいないので良くなっているわけもなく、気持ち悪さが増していた。 目が眩む眩しさに耐え切れず、窓際のカーテンを閉めようと、ベットから重くかったるい上半身を起こしたその時─ 《 カッ、コツッ、コッ 》 「…?」 石の様なものが当たった音が窓から聞こえてきた。 「…えっ?」 手元のカーテンを握り締めて、ゆっくりと窓の外を覗いて見ても何にも見えない。 小学校の男子たちがいたずらしに来たのだろうか─。 ベットの上に立ち上がってカーテンを開けようしたが、少し立ちくらみがして思うように立てず、その場にうな垂れるようにしゃがみ込んでしまった。 『みう!大丈夫か?!おいっ!』 うな垂れた頭のすぐ横で聞き覚えのある優しい声がした。 重ったるい頭を起こして、もう一度窓際の方に目線をあげると、ヒョイとベランダの柵を乗り越える敦の姿が目の前に飛び込んできた。 『~美海?!美海!』 敦はベランダに下りて、美海の部屋の窓をコンコンッ叩きながら叫んでいる 一瞬、夢か現実か分からなくなったが、少し眩暈のする頭を振りきって、窓のカギを開けた。 『…大丈夫か?』 「あっ、あれ?…何で?」 『あっ、うん。この前、うちに泊まった後からずっと心配で、美海の姿を探してたんだけど、居なかったからさ。また、何かあったんじゃないかと思って、 そしたら、居ても立ってもいられなくってさ。 自分の部屋から真向かいが美海の部屋だったの、この前うちに来た時に美海に教えて貰ってたから、少し消しゴム投げてみたんだけど、 反応なかったから何かあったんじゃないかって。 下を見たら、美海んちの庭に大きな木があったし、ちょうどいいじゃん?って、思ってよじ登ったら、美海がうな垂れてるのが見えてさ。 なんだか、気付いたらっ…いつの間にかこっちに飛び越えちゃってた』 太陽の光を背負って光っている、眩しい敦
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