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「……でね、こっちの治具をもう少し削ったら、いいカンジになると思うんだ」 「………………」 「ちょっとキリン、聞いてんの!?」 余所に飛ばしていた意識を目の前に戻せば、下から大きな瞳が睨み上げていた。 ……やべ、やっちまった。 「スミマセン、聞いてませんでした」 素直に謝ると、「しっかりしてよ」と呆れ顔をされる。 「作業中にぼんやりしてると、あたしみたいになるよ!」 そう言った彼女の利き手には、包帯。 昨日病院で巻き直して貰ったばかりだという、それ。油で汚れる事もある現場に不釣り合いな白さが、目に痛々しい。 視線に気づいた彼女は、困ったように笑うと、反対の手でべちんと俺の背中を叩く。 「もー、そんな顔しない!言ったでしょ、これは自業自得なの!」 キリンの所為(せい)じゃないんだよ一一。 言外にそう言って、謝らせてもくれない。
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