第1話 プロローグ

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最初に屋敷の玄関口を箒で掃く。 それが終わるとまきを割ってキッチンに補充して次に屋敷内の廊下のモップがけ。 こんな感じで夜の11時まで働く。 おれの雇い主でありこの屋敷の主は、この国の王族の次に権力を持っている貴族のアリウス家である。 おれことアルフェルトは運良くアリウス家の従者の1人として今年で7年働かせてもらっている。 正午を少し過ぎ、馬を使って屋敷で使う大量の水運びをしている。 水を出す魔導を使ったカラクリもあるが。 水を無から出すことは出力が大きく、消費魔力が大きい。 このように全てを魔法により完結することはできず、自然エネルギーと共に運用している。 よって、水汲みは今でも重労働だ。 馬を馬小屋に戻して屋敷に入るところを、 今日もいつも通りの仕事内容で終わると思っていたが、 従者長の補佐に呼び止められた。 「アルフェルト、話がある」 なんかやらかしてしまったか。 少し焦ったがどうやら違った。 上司はおれに新しい仕事を言い渡した。 その仕事とは、この屋敷から少し離れたところにある旧館で行う作業であった。 旧館とは約70年前に今の屋敷の前に使われていたとされる二階建ての屋敷で、 今にも崩れてしまいそうな外見が目印である。
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