舟の建造予定地

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魔族襲撃事件から約2週間後。 完璧とは言えないものの、街の機能がかなり回復してきたイリア王国。 その中央地からやや外れた場所にある街。 上層階級の人間が住む場所でもなく、かと言って低所得者のスラムとも化していないこの地域。 商業も工業も中途半端に栄えた、ある意味居心地の良い街と言えるこの地域に、真昼間から騒々しい声が響いていた。 「何つった、このアマ!!」 「直ちに土下座して謝りなさいと言っているの!何度も言わせないで!!」 野太く荒々しい男の声と、甲高くキリキリとした若い女の声が、激しく言い争っていた。 「てめぇからぶつかっておいて良く言うぜ!!」 「貴方がでかでかと踏ん反り返って歩いてるのが悪いのよ!!」 その道端での喧嘩は、スキンヘッドで色黒な柄の悪そうな大男と、セットに手間のかかりそうな髪型をした細身な少女が起こしている。
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