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(何のマネだ?急に地面なんかを撃ち出して)
砂埃を巻き上げる為だけに銃弾を使うなどあまりにも勿体ない話だ。それに視界封じなど通じない。
天川の脳裏にトコリコの言葉が蘇る。
----オレ様は、そんな強い連中と戦いに来た訳じゃないんだ。
嫌な予感がした。
そもそも、素早く動けるのならば、どうしてすぐに攻撃してこない。天川の星図を警戒しているのか。いや、そもそも、その速度を使えば逃げ切ることもできたはず。いくら、超人的な反射神経を兼ね備えた天川であっても、目に止まらぬほどの早さで逃げる人間を追いかけるなんて芸当はとてもできない。
気付けば天川の周囲はトコリコが引き起こした砂埃で囲まれていた。それは、つまり、トコリコは天川を中心に円を描くようにして周りを走っているということだ。円を描くように走りながらガトリングガンを地面に向けての連射射撃。
何の為に、そんなことを。考えるまでもない。理由は決まっていた。破天荒でとんでもない逃走経路をトコリコは計算していた。
「最初、お前が攻撃を仕掛けてきた時、地面がおかしいことに気付いた。こっちは長いことトレジャーハンターをやっているから、その異変にはすぐに分かった。この下には大規模な空洞があるのだと」
「しまっ・・・」
トコリコの思惑に気付いた時は手遅れだった。弾切れしないガトリングガンの無数の弾は地面に充分すぎる衝撃を与えていた。撃たれた弾はいうならば、極小の杭だ。円を描くように撃たれた杭はその間に亀裂を走らせ、天川が立っている地面、そのものを崩落させた。
急ぎ回避しようとしたが、もう間に合わない。地面は崩れだし、ポッカリと綺麗な穴が空いた。崩落する地面の残骸を足場に脱出を試みる天川であったが、そんなことが出来るのは漫画ぐらいだ。上にはとても戻れない。
そして、その崩落にはトコリコに一緒になって落ちてきた。誤ってではない。わざとだ。わざと、トコリコは崩落に呑まれた。
「お前!一緒に落ちるつもりか!」
「オレ様は、お前達と戦いに来た訳じゃないと言っただろう!これは、探索と逃亡が目的だ!言っておくが、この星の宝、星の記憶はオレ様が貰う!悪く思うなよ!」
「宝?星の記憶?お、お前!何か重大な勘違いをしていないか!星の記憶は宝ではなく・・・!」
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