2.星の記憶

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「何故かは分かりません。自分は、この通信室に逃げ込み電子ロックをかけました」 「それが、約十時間前の出来事か・・・。急所を外していたのが幸いだったな」  通信が途絶えた少し前に何かが起こったことは予想していた。しかし、それが同じ隊の副指揮官による事件だったとは少々、予想外だった。 「前々から知っていた。確かに、その可能性はあるな。データを漁っていた中に、そのパレスって奴が星の特定の鉱石の情報を引っ張りだしていた痕跡を見つけた」  普通、軍のコンピューターに一般人がアクセスすることはできない。だが、彼ら、七ッ星だけは例外だった。彼らは警察機関と同等の権限を持っている。その権限をもってすれば情報を引き出すことはできた。あとあと、色々と言われるが。今は非常時であり、そんなことは言っていられない。 「どこで知ったか知らないが、この星は他の星とは違い様々な鉱石によって構成されているようだ。ステルス系の地質もあるが、パレスが注目していたのは、さらに危険な物だ。それは、欲望を具現化する物質」 「まて!欲望の具現化だと?」  コンピューターに記録されていた情報を聞かされたドラキューラは血相を変える。 「それらの物質は、他の惑星でも確認されているが。薬物同様に危険物質とされ、個人の所有の禁止及び惑星で確認された場合は連邦による管理が行われるはずだ」 「そうなるはずだったが、パレスは通達が行われる前に仲間を射殺したようだ」 「なんということだ。この星では、その物質は幾つあるんだ」 「資料として回収された物質は微々たるものだが、おそらく、大量に存在しているかと」 「今から銀河連邦に連絡をとったところでも間に合わないだろう。パレスが次にとる行動は恐らく、星の記憶を見つけ出すつもりだ」 「星の記憶を?」  ドラキューラの言葉にギャックは首をかしげた。 「惑星X全土にある、ソレを個人では使うには限界があるが、一つだけ手っ取り早い方法がある。他の星でも報告されていたことだが、星の記憶と一体化する方法だ」  ギャックも血の気が引いた。
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