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モニターに映し出された人物は軍服を着ていた。その格好と顔に刻まれた傷跡は高い階級の軍人であることが分かる。
『・・・事態は急を要するものだと推測される』
軍人は高圧的な口調でモニターを見ている六人に語る。人の代わりに大量の荷物が占領している客席以外に座る六人は軍人から語られる話を黙って聞いていたが、やがて、一人が口を開いた。
「推測も何も、俺達が全員、出向く必要はなかったんじゃなぁい?」
独特の訛りで腕に入れ墨が刻まれた男は平然とモニターに映る軍人に聞き返しす。
『だが、あそこは全容が解明しきれていない未知の惑星だ。最初、その星を発見したのは外銀河からやってきた発明家の一向であった。彼らの依頼を受けた七番星(セブンスター)、ビック・シバーター率いる作業員が、全員行方不明。その後、捜索に派遣した中隊が連絡を絶ったのが、今から十時間前。ただ事ではない事態が起こっていると、推測するのが妥当だ』
「どうせ、ビックは仕事に熱中しすぎて連絡をとるのを忘れているだけでしょう。彼、工期は絶対に守る人だから」
「右に同じく!だから、帰してください」
後部の座席に座る黄緑色の髪の毛を後ろで結ったポニーテールの女性と中性的でエプロン姿の女性は口を揃えて言う。
「そう言うな。もし緊急事態が起こっていたらどうするんだ。この船にも積めるだけ薬と医療器具は載せてきたが、それで果たして間に合うかどうか」
白髪で白衣を着た年配の男は医者であるらしく、座席の大半を埋めていたのは彼が用意した医療道具の一式であった。その量は、診療所でも開けるぐらいだった。もっとも、それが原因が客席だけでなく後方の貨物室までも埋め尽くしているのだが。
「俺は別に構わないけどな。借金取りから逃れられるのならば、未知の惑星だろうが、外銀河だろうが、どこにだって行ってやるぜ」
と、兎のような耳を生やした男はニタニタしながら、自分の顔に生える兎の髭をさすっていた。そんな彼の様子を見てた黒いサングラスをかけた中年男性は呆れてた。
「どうせ、どこにいっても借金をつくるだけ、つくって逃げるつもりなんだろう」
「まぁ、そうなんだけどな」
サングラスの男に兎耳は笑った。
個性的としか言いようがなかった。トレジャーハンター、トコリコは貨物室の扉の隙間から覗き見て思った。
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