2.星の記憶

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(どうして、オレ様の位置が分かるんだ!暗視装置でも身に着けているのか。それとも、あのサングラスに秘密が!)  先程まで優越に差がなかったトコリコと天川の戦いも舞台が暗闇へと移されると一変し、天川の方が優勢となった。暗闇では、無闇の素早さを上げる訳にもいかない。素早さが上がらなければ、トコリコは次第に天川に追いつめられた。  一歩、後ろに下がろうとしたトコリコは動きを止めた。止めるしかなかった。気が付けば壁を背にして戦わされていた。 「終わりだ」  トコリコを壁へと追いつめた天川は正拳を突き立てる。このまま、交わすことができなければ、確実に彼の正拳を顔面に受けることになる。いくら、ケガを治癒できる首輪を装備していたとしても、気絶を瞬時に回復させることはできない。トコリコは今までの経験で分かってた。トコリコは突き立てられた正拳の方向から天川の位置を予測して左腕の銃器を向ける。  銃を突きつけられる、天川はすでに予測していた。この状況で、トコリコが打てる手立ては豪腕の右腕を使うか、銃器の左腕を使うかの二択しかない。足による蹴りも予測できたが、それはよほど近寄られた時でなければ空振りで終わってしまう。だから、天川は少しも慌てず、正拳を突き出す姿勢から下から突き上げる構えに変え、真下からトコリコの銃器を突き上げた。銃口さえ、逸れていれば問題はない、そう考えていた。  これで、決着はつく。この至近距離では次の動作は間に合わない。そう、天川は確信した。ただ一つだけ、トコリコの表情に違和感を覚えた以外は。 (何故だ?何故、この男は笑っている・・・!)  天川は口元を吊り上げ笑みを浮かべているトコリコに違和感を覚えていた。苦し紛れの笑みとも違う、まるで、この場面に上手いこともっていけたことによる喜びの顔だ。  何かが違っていた。 「チャージ×ライト」  トコリコは銃器の種類と装填されていた弾の名を口にした。トコリコの左腕はこの状況では不利としか思えない、一発勝負のチャージガン。そして、天川に襲われている間、ずっと溜めていた光の力を一挙に放出した。  チャージガンから放たれた、ライト弾は初めから天川など狙っていなかった。この闇を払う為のが目的であった。放たれ空中を飛翔したライト弾は広い空洞内でその光りを解放し、瞬時に暗闇を光りで満たした。
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