2.星の記憶

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 ラースを天川に押しつけたトコリコは高笑いを続けて、自分の直感を信じて星の記憶がある場所を目指し進んだ。地下に出来上がった洞窟とも空洞とも区別がつかない空間で頼れるのは自分だけだった。  星の記憶を目指す途中、大きなモグラと戦っている男や大猿を相手に野球をしているファースを見かけたが、トコリコは無視して先へと進んだ。そもそも、今回、トコリコの目的は星の記憶にある。どんな宝なのか、トコリコはひたすら楽しみだった。他のことに構っているヒマはなかった。  やがて、トコリコは惑星Xの最深部と呼べる場所に辿りつくことになる。パレスが星の記憶を手に入れた場所だ。 「先客か?」  人工的に創られた星の記憶が安置されている球体のような部屋の中央に浮かんでいる人がいた。かつて、パレスだった男だ。 『来たか・・・。招かれざる客よ』 「誰だ、お前は・・・」 『私はかつて、パレスと呼ばれていた者だ』  左肩に星の記憶を填め込んだパレスは淡々と機械的にトコリコに語りかけた。パレスの姿はすでに人間とは異なっていた。全身が星の記憶と同じ光りに包まれ、星の記憶から血管のように彼の身体に脈が伸びていた。 「パレス?どこのどいつだ」 『どこの誰でもいいだろう。私は、もうパレスではない。人間でもない。私は、星人になった』 「星人?」  聞いたことのない言葉だった。成人や聖人は聞いたことがあるが、星人とは。パレスは宇宙人になったとでも言いたいのか。 『星人とは、星の記憶と一体化した人間のことだ。人という器を捨て、更なる進化を遂げた』 「・・・星の記憶と一体化した?星の記憶って、宝か何かじゃないのか?」 『これだから、未開の人間は・・・。星の記憶とは、その名が示す通り、星の記憶、そのものだ。星が生まれてから今に至るまで、全ての出来事が凝縮されたもの。それが、星の記憶だ』 「宝じゃないのか」  トコリコは自分が想像していたモノとあまりも違うことに顔をしかめた。星の記憶の塊ではさすがに持ち運べないとでも思ったのか。 『せっかくだ。星の記憶、それに刻まれた星の歴史をお見せしよう』  パレスはそう言うと、右手を上に指差した。すると、球体のような部屋に立体映像として歴史が再現された。
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