2.星の記憶

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 ガトリングガンから撃たれた弾は徹甲弾。連射性能の高いガトリングガンから大量の弾が撃たれた。弾は全て、パレスに命中する。だが、彼は自身を星人と名乗っていた。その意味をトコリコは理解することになる。 「何!」  大量の弾がパレスに命中したが、すぐに再生が始まってしまう。この星の記憶からして分かるが、欲望を具現化する物質は想像以上に地中に含まれている。それを用いることで、身体全体を包み込み治るようになっている。一発、一発の威力が低い数で攻めるガトリングガンでは効果的なダメージを与えるに至らない。 「だったら、こっちだ!」  ガトリングガンをチャージガンに切り替え、弾も変更する。  パレスはトコリコの考えなど無視してレーザーを放ち続けた。 「チャージ×レイズ」  レーザーを回避したと同時に、トコリコのチャージガンからもレーザーが放たれた。ただし、こちらはただのレーザーではない。トコリコが元いた世界で知り合いだった同業者が扱っていた光線を元にしたレイズ弾だ。  レイズは簡単に言ってしまえば原子結合を無くしてしまう効果がある。どんな構成物質でも結合を分解されてしまえば存在を維持できなくなる。トコリコの驚異的な回復力をもってしても、その光線を受ければ無事ではすまない。トコリコに最大の天敵の武器を元にしたレーザーだ。いくら、星人になったパレスでも防ぐ手立てはない。 「これで、どうだ」  レーザーが命中したパレスを見て、トコリコは笑みを浮かべた。だが、返ってきた言葉は、 『防衛を解除。高エネルギーを攻撃に転換する』 「な!」  トコリコが聞いた言葉は撃たれる前と変わらないパレスの淡々とした声。撃ち込んだレイズを両手で受け止め、それを自身のレーザーに練り込んで撃ち返す態勢をとっていた。  その様子を見て、トコリコは左足の足枷で素早さを上げ走り出した。少しの差で、威力が増したレーザーはトコリコがいた場所を貫いた。 (冗談じゃないぞ!あいつ、レイズまで吸収してしまうのか!再生する上に攻撃を吸収するなんて・・・。どうすればいいんだ!)  一旦、この部屋を出て態勢を立て直そうにもパレスはすでに、出入り口を封鎖していた。確実にトコリコを仕留める為に。  ガトリングガンも通用しないチャージガンも威力が高い弾を撃ち込んでもエネルギーに転換されてしまう。まさに、星人と呼ばれるに相応しい。
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