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聖風=瀧は宇宙でも珍しい惑星遊牧民である。彼女達の種族は昔から、風を操ることに長け、宇宙空間であろうと宇宙服無しで移動できる手段を編み出した。故に彼女達の種族は宇宙の蝶とも呼ばれ、質の悪い密猟ハンターに常に狙われてた。
空を自由に飛びたい。それは、瀧の願いであった。
「背中を預けられるから、私は今までよりも、自由に空を飛べる」
プライドを圧倒する瀧は言った。
「それが、どんなに気持ちいいことか分かる?命を狙われることなく、空を安心して飛べた時の開放感。その時、知るのよ」
「もうお腹いっぱいなの?まだまだ、お菓子はいっぱいあるのにねェ?」
ポロは目をギラギラさせながら、口から泡を噴き出し動けなくなっているグラトニーに言った。
ポロは刑務所出身の元囚人である。極度の菓子作りが災いして、刑務所に収監されていた。そして、今もそれは抜けていない。普段は大人しくとも、菓子作りに関しては、その特化した才能を見せびらかせる。
即席とはいえ、ポロの周りには彼女お手製の菓子が山のようにあった。
「仲間同士の甘い掛け合いなんて、ウンザリなの。甘いだけじゃ、お菓子は成立しないように、時には辛みや苦みも必要なのよ」
「仲間ってのは、そもそも何だ。同期、同級、同組織、同種族、同じ目的もそうだ」
ドラキューラはグリードを見据えて語りかけていた。元気なドラキューラに対し、グリードは消耗しきっていた。ドラキューラと戦う度、彼に血を吸われているからだ。
「だが、そんなのは狭いコロニーでの遣り取りでしかない。果たして、そんな仲間が信頼に値するかどうか。そう大事なのは、仲間ではない信頼だ」
普通の敵なら自分の疲労を感じて戦うのをやめるだろう。しかし、グリードは欲望の具現化。やめるということを知らない。同じ過ちを何度も繰り返しながら、ドラキューラに襲い掛かる。
「遅い!」
グリードの血を吸い身体が強化されているドラキューラは拳を突き立て虎の手を砕く。もう勝負の差は歴然だった。
「我が輩は吸血鬼だ。吸血鬼が医者をやっているなんて、不思議だろう。我が輩は昔、思い知らされた。例え、種族や思想が違っていても、その相手が信頼に長ける人物なら、変な仲間なんかより、ずっと安心できると。我が輩は医者になって、そのことを証明する為にいるんだ」
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