1.惑星X失踪事件

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「オレ様の名前を知りたいのか?いいだろう、特別に教えてやる。オレ様は、トコリコ・OF(オブ)・THE(ザ)・ブレス。無所属のトレジャーハンターだ」 「トレジャーハンター・・・。なるほど、未知の惑星の鉱物を狙ってきた訳か・・・。だが、その名は聞いたことがない。駆け出しのハンターか」 「そんな訳ないだろう。オレ様が駆け出しのトレジャーハンターに見えるか?」 「そうだな。その口調と態度、思い上がりでなければ、相当な手慣れとみた。だが・・・」  天川は地面を蹴り、まだ十歩以上開いていたトコリコとの間合いを瞬間的に詰めた。 「密航者である以上は逮捕させてもらう!」  突き出された天川の拳。それをトコリコは右手で受け止めた。 (何だ?この男は・・・) (この感触は何だ?人間の肌とも手袋の類とも違う!)  二人は顔には出さないが互いの力に驚嘆する。  岩でも楽に砕ける力まで増幅された拳に拮抗する天川の拳にトコリコは驚く。天川は光り輝くトコリコの右手に拳を当て、その異質な感触に驚く。  驚いたのは一瞬のこと。天川は間を入れずに、次の動作に移る。手早くトコリコの右手から拳を離すと、少し後ろに下がり左足を軸とした右回りの蹴りを彼の脇腹に命中させた。  そして、対抗していたのはトコリコも同じだった。天川が回転する一瞬の隙を突いて、前の世界でコピーした無法者のティックが愛用していたガトリングガンに変化させると、銃口を天川に向けて至近距離から撃ち込もうとした。天川からの攻撃を受けていたが、殺すつもりはなかった。ガトリングガンに装填していた弾は対テロ用のゴム弾であった。 「ガトリング×ラバー」  撃とうした直前に右脇腹を蹴られ苦悶の表情を浮かべるも照準は合わせたままだ。 (左腕の雰囲気が変わった?どうなっているんだ!この男の構造は!)  自分に向けられるトコリコのガトリングガンに気付き天川は蹴った足を地面に着けると身を屈め拳を握りしめ直接、ガトリングガンの銃身に拳を当て上に弾いた。照準は外れ、弾は全て近くの器材や岩肌に命中する。  トコリコと天川はお互いに間合いを取り合い、見つめ合う。 「お前の腕はなんだ?さっきから、雰囲気が変化いるじゃないか」
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