1.惑星X失踪事件

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 天川の知らない技術が詰め込まれたトコリコの腕輪の力。指摘されたトコリコは自慢するように、元の戻した腕輪を見せつけた。 「これは、オレ様の自慢のコレクションの一つ、力の腕輪(パワーブレスレット)だ。便利だろう?銃器に変化したり、力を増幅したり・・・。この際だ、他のも見せてやる」  トコリコがそう言うと、突然、姿を消した。いや、姿は消えた訳ではない。朧気ながら姿を見えていた。左足の足枷で速度を増幅しただけのこと。  トコリコの姿が消えるも、天川は少しも動じなかった。淡々と周囲の状況から何が起こっているのかを見抜いた。 (今度は左足か・・・。早く移動できるようになったが、逃げる気配はない。今度こそ、私を倒すつもりか)  現段階での天川との力は拮抗していた。力の拮抗を補う為に、トコリコは早さを増幅した。どんなに力が強くても、どこから襲われるか分からなければ攻撃できないと踏んだのだろう。  天川は周囲の状況を踏まえると、急に拳を構えるのをやめ全身の力を抜き始めた。 (力を抜いた?誘っているのか)  それは、あまりにも不自然とトコリコも感じていた。天川ほどの強者が、この状況で諦めるとは到底思えなかった。あえて、隙をつくり出すことでトコリコを誘っていた。  天川からの誘い。トコリコはそれを断る理由もなかった。 (折角の誘いだ。乗ってやろうじゃないか)  天川は全身の力を抜いたまま、微動だにしない。ただ、頭の中ではある図が浮かんでいた。それは、夜空に煌めく星々だった。頭の中に星図を思い浮かべ、その範囲を自分の周囲に広げた。誰にも見えない天川だけの星図。 「流星空手『星図』」  天川がイメージによってつくりあげた星図は言うならば、一種の気による結界であった。天上の星々は、永遠とも呼べる年月をその配列を乱すことなく存在していた。それが乱れることはあってはならない。  天川に接近したトコリコの身体が星図に触れた。それと、ほぼ同時に天川はトコリコが襲っていた方を向くと、力を抜いていた手を握り締め、 「流星空手『獅子流星群』」  トコリコに天川の正拳が突き立てられた。トコリコも油断してはいなかったが、予想していたよりも早い天川の動作に不意を突かれ、全身に彼の正拳を浴びることになった。
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