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幹部に抜擢され、将来を嘱望されていた時点であれば販売所も喜んで応じただろう。
が、幹部になった途端に営業成績は下がり、客とのトラブルから本社に苦情が行き、奥さんや店長の前で啖呵を切ったばかりの今の俺には、いささか状況が悪い。
所長に侘びを入れ、ほとぼりが冷めるのを待たなければ、なかなか言い出しにくい話しだ。
そんな状況の中、真理子との間に割って入り、所長を憤慨させるような行動を取るのは得策ではない。
風呂場に隠れたままで堪えたのには、そうした打算も有ってのことだった。
しかし、風呂場から出て真理子の態度を見た途端に後悔した。
真理子の俺への想いが想像以上であったことが一目で分かったからだ。
そしてその想いが一気に冷めてしまったことも。
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