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「何なの!何で勝手に入って来るの!」
「何を怒っているんだ千里。電話に出ないから様子を見に来たんじゃないか」
「何で叔父さんが来るのよ!」
「雅文が、どうしても外せない用事が有るって言うから、代わりに来たのさ」
ネットリした洪の視線を感じ、慌てて足を閉じた。
あの頃感じた視線と同じ――。
幼い頃、父親の居ないわたしは、洪に甘え懐いていた。
しかし小学校の高学年に足を踏み入れた頃から、触れてくる洪の手付きや視線が少しおかしいと感じ始めた。
そして成長と共に不信感は強まり、洪と一定の距離を置くようになった。
更に中学生の頃、洪が手下の中でも右腕と言える存在の零(レイ)と寝ているのを知った。
そのことが洪に対する嫌悪感を更に増幅させた。
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