第2章の続き

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 ◇  真理子にヤクザらしき男が居ることは分かっていたことだが、それに対し嫉妬は感じなかった。  その反面、一度ヤリたい――ただそう思っていた存在が、いつしか話していると心癒されれる存在に変わりつつあることは感じていた。  だが俺には、自分の子を宿した千里という絶対的な存在がある。  二人を天秤に掛けてみようとは思わなかった。  だから迷いも起こらず、真理子とこれ以上親しくなれたとしても、それは一時の火遊びだと割り切るつもりだった。  そして昨日の今日で思いがけない訪問を受け、チャンスだと思った。  肉じゃがを置いて立ち去ろうとする真理子を引き止め、まんまと部屋に上がり込むことに成功した。  だが話している内に、心が癒やされるだけではなく、自分の心が真理子に奪われて行くのを感じた。
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