《第四章》

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《第四章》

甘いお菓子に囲まれた休日。なんて素敵なんだろうか。チョコや砂糖、フルーツの何とも言い難い香りに包まれてお茶をすする。一日中、何も考えることなくソファーで過ごすのだ。 ルシオラの部屋でね。 ついでに彼から小言を取ってしまえば尚のこと完璧な、怠惰の極みとも言うべき一日を過ごせるだろう。何せ、彼から小言を取ってしまえば、僕にとってはただの過保護な親どころか、お茶汲み係に早変わりだ。 ふかふかのソファーで隣には氷晶がいて、目の前には甘いお菓子の山がある。なんて幸せな休日だらうか。 って、考えて溜息を吐く。 そうだルシオラの部屋でお菓子でも食べて暇をつぶそうといき勇んで彼を訪ねたはいいが、二日酔いのせいで恐ろしく機嫌が悪そうな顔で出迎えてくださった。その背後には例の如く酔いつぶれ床に突っ伏して眠るアデルの姿。 一瞬で状況を理解したレニは急いでその場を去ろうと踵を返したが、扉を開けさせてしまった時点でどうなるかなんて決まっていたようなもの。笑顔で誤魔化してみたが甲斐なし。お菓子ついでにお小遣いを頼もうと思っていたのに、そんなことは言える雰囲気ではない。 魔法薬学の課題を突きつけられて扉を閉められてしまった。 「皆がルシオラを冷めてるって言ってる意味が解ったよ」 たかだか二日酔い如きのために部屋を追い返すだなんて。せっかく可愛い息子が『お菓子ちょーだい』ってな具合で登場したというのに、課題渡してハイさよなら。 なんて冷たい親なんだ。
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