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とりあえずショウガを手に取ってみたが……駄目だ。隣から咳払いが聞こえてきた。選択すべき材料とは違ったようだ。
レニは、今度は萎びた翁の鼻のような根っこに手を伸ばした。何の植物の根っこなのやら、皆目見当もつかなかったが、咳払いが聞こえてこないということは、正解だったらしい。
躊躇うことなく持ってはいるが、気持ち悪いことこの上ない。
まぁ、いいだろう。
レニは迷うことなく『萎びた翁の鼻(仮)』をボッコボッコと煮える鍋の中へと投入した。美しい弧を描いて飛んだ『萎びた翁の鼻(仮)』はトプンっと小さな音を立てて鍋の底へと沈んでいった。
「お馬鹿っ!」
サランの焦った声が教室に反響した。
普段あまり声を張り上げないサランの大声に教室は一瞬静まり返り、そこにいた全員が口をぽかんと開けて視線を彼へと向けた。
勿論、レニも例外なく。
えっ、と。
鍋を振り返る暇もなく、教室内に盛大な爆発音が響き渡り、紫色をした煙が充満した。しかし、その煙はすぐに消えていった。
事態に気づいたレニははっとして教室を見渡したが、これまた時既に遅しというやつだ。
効果の変わってしまった痺れ薬は解毒薬どころか、睡眠薬に成ってしまったらしく。結界を張り遅れた生徒達数人が机に突っ伏していた。エルヴィエラもだ。
レニの周りにはサランの結界が張られていた。彼がいなければ、きっと今頃は夢の世界にいたことだろう。何たって、気づいたのは皆が寝た後だったもの。
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