《第一章》

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「フリーク…………君はたった今、課外補習授業行きが決定した。このく……『危険物』を次の時間までに片づけておくように。言い訳は聞かない。では」 サランはそのまま教室を出て行ってしまった。 彼が出て行った後、扉が閉まると同時に終業のベルが鳴り、廊下からざわめきが聞こえてきた。眠りに落ちていた生徒も、ほとんどがその音で起きたようだ。 何が起こったのか理解できていない様子で、いつ講義が終わったのだろうと目を擦っている者もいる。 「また、やっちゃった?」 「だね」 苦笑気味のレオン。 彼は当然のごとく結界を張っていた。さすがの反応速度だ。 彼は次の『実習』の授業のため、教技場へ行ってしまった。友人に半ば引きずられてゆく形で。 「レニ!大丈夫ですか!?」 少女が駆け寄ってくる。 赤い髪右がやや長いアシンメトリーのボブカットにしていた。瞳は空豆みたいな綺麗な黄緑色。 細身の彼女だが、太股だけは程良くむっちりしている。それが良いとは、口が裂けても言えない。彼女的にはそれがコンプレックスらしいし、変人奇人扱いは兎も角、変態呼ばわりされたくはない。 彼女は傍に寄るなりレニの頬を両手で挟んで自分の方へと引き寄せた。
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