《第三章》

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「よかったね」 「だろ~。まさか、ゲノムスが使い魔になってくれるだなんて、考えもしなかったもんね。四精霊!これでレオンとイーブンだ。でもさ…………」 セオドアはレニの顔を覗き込んだ。あまりにも近かったものだからレニも思わず身を引いた。両耳のピアスが揺れて、光る。 「何?」 「何であの時『帰れ』なんて言ったんだ?」 レニは口を噤んだ。 セオドアは尚も彼を責め立てる。 「白い炎は神の炎…………上級でも、その炎を持つ者は極めて珍しいことからそう呼ばれている。あれが、召喚の失敗だったと嘯くなよ?失敗で喚び出された上級以上の火属性の精霊があんなにも殊勝なまねをするとは思えないからな。それに、俺は確かに聞いたんだ。神の炎を持つ者に対して、お前が『帰れ』と言ったのを、はっきりな」 「僕はただ、出て来てほしくなかったからそう言った。そしたら、帰ってくれただけの話だよ」 これは事実だ。 『彼』とは契約を交わしていない。 真っ直ぐにレニの金の瞳を見据えるセオドア。しかし、レニの瞳の光は揺るがない。 「あくまでも、話さないつもりか………… もういいよ。もう降参!」 セオドアはレニから離れて、肩をすくめた。呆れ混じりに溜息を吐く。
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