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また、ローブの裾を踏んだのかと思ったが違ったようだ。足元を見てみれば、不自然に出された足があった。
「おっと、ごめんよフリーキー。僕の足は長いんだ、悪く思わないでおくれ」
どっと笑いが漏れる。
わざとらしく言った其奴。
長いシルバーブロンドの髪を肩で一つにまとめた少年。いかにも金持ち臭を漂わせている彼は、見た目から察するとおりに貴族の出身。この学校――国立プレイアデス魔導学院のある東領の領主の一族の出である。
エルヴィエラ・イラスムス。
何かと彼は、自分を敵視してくるのだが、これと言って何かをした覚えがない。困ったものだ。
レニは特に気にとめた様子もなく立ち上がって軽く汚れを払うと、再び階段を降りはじめた。すると、それがお気に召さなかったのだろう。後ろから舌打ちする音が聞こえた。
「平気か?フリーク」
一番前の真ん中の列の右端に座った少年が、レニが横を通り過ぎる際に声をかけてきた。
肩までの焦げ茶の髪にすごく澄んだ蒼をした碧眼を持っている。目は綺麗なアーモンド型。ローブには塵一つついておらず、そこから彼の性格が窺い知れる。
全体から、品の良さが漂っていた。
「平気だよ。ありがとね、レオン」
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