《第四章》

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レニは財布(がま口わんこ)を取りだして逆さに振った。 悲しいかな、出てきたのは1ルッツ銅貨が二枚こっきり。しかも、端っこが少し欠けているときた。これではパンの耳だって買えやしない。せめて500ルッツの銀貨の一枚くらいでてきてくれてもよかったのに…………当然、お札も金貨も出てくるわけがない。 はぁぁ…………。 いつもよりも深めの溜息を吐き、レニは廊下の天井を仰ぎ見た。見事な彫刻が目にはいる。 元お貴族様のお坊っちゃんのくせにお金に厳しく貧乏性のサランさん。彼のお陰でレニは節約と倹約を身につけた。 「これは……稼がないとだな」 レニはローブの裾を翻した。 ―――――――――――――――
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