第1話

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私の名前は大本 俊一。31歳。既婚者。 見た目はこれといって特徴なし。 強いていうならば眼鏡を掛けていることか。 勤務先は〇×商事の係長代理。 勿論、転職経験はなし。 大学の卓球サークルで一緒であった同級生の亜沙美と結婚して早五年が経ち、現在は二人の子宝に恵まれごく普通の幸せな家庭を築いている。 …けど何か物足りない。 夫婦生活が上手くいっていないわけでもない。 子供たちだって、それなりに私に懐いてくれている。家族は円満なのだ。 …では原因は何なのだ? 結婚して子供が出来、私が家族の大黒柱となり蟻のごとくあくせく働いているからか? いやいや違う! 私は仕事に誇りを持っている。 転職する気もなければ今の仕事が嫌いというわけでもない。 不景気の最中、給料だって人並みに貰っているのだ。 …ん? 俗に言う、「普通のサラリーマン」とは私のことなのか? …今では趣味である卓球のラケットを握ることもなくなった。 大好きなバス釣りも、かれこれ6年はしていないぞ。 『家族の為に仕事をするのが生き甲斐だ!』 そんな大義名分を言い訳に平凡な毎日を過ごし・て・い・る。 何か私なりの生き甲斐を見つけなければ! ・・・それが切っ掛けなのであった。
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