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そんな私は今から電車に揺られて通勤するわけなのだが毎朝、この駅、A駅を7時5分に出発する電車を利用している。
何故ならばこの時間に乗車出来れば間違いなく「ここ」に座れるのだ。
「ここ」とは前から二両目の車両の二番目の扉から入った一番奥の端の席。
そう!ここが私の特等席「マイポジション」なのだ!
色々と試しもしてみたが、この時刻にここに座れないと何故か落ち着かない。
大袈裟と思われるかもしれないが一日が始まった気がしないのだ。
この時間にここに座れることが一番の至福を感じ、私の生き甲斐だということに気づいたのだ!
ゴホン、ゴホン。
今日もまた化粧の匂いが鼻につく。
私のマイポジションの隣にいる派手な茶髪女性。
年の頃なら20代半ばでOLといったところか。
彼女も私と同じA駅からこの時刻の電車に乗車しここへ座る。
そう彼女のマイポジションは私の隣なのだ!
いつも通勤電車の中で化粧をしている彼女のことを私は心の中で『○エビア』と呼んでいる。
シャカシャカ♪
やはり○エビアの隣の席から微かに音が漏れて聞こえてくる。
ヘッドフォンをしているとはいえ、私は朝からこういう大音量で音楽を平然と聞ける若者の神経が理解出来ない。
しかし本音は何故かこのヘッドフォンから漏れてくる音を心地よくも感じる。
この私の隣の隣に座っている襟足が長いチャラい男性。
年の頃なら20代前半でスーツを着ているが普通のサラリーマンではないはずだ。
身なり格好からして、きっと不○産屋に違いない。
私は彼を心の中で『○ンチュリー21』と呼んでいる。
彼もやはり毎朝この時刻にA駅を利用し私の隣の隣をマイポジションとしている。
図で表すならこんな感じである
【◎★◆・・・・・】扉【・・・・・】
◎ 私
★ ○エビア
◆ ○ンチュリー21
一度も言葉を交わしたことのないこの三人は奇遇にも別々のマイポジションを持っており出発駅、時刻も同じであれば降りる駅も同じなのである。
この7時5分から始まる三人の運命的な微妙なバランスがいつまでも続けばいいと私は切に願っていた。
しかし!!
大事件が起きた!
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