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「…話してみろ。楽んなるから」
雷牙は私の身を引き起こし、再びぎゅっと抱き締めながら背中をぽんぽんと優しく叩く。
貴方に話した所で何も変わらない。母は帰って来ない。こんな姿、誰にも見られたくない。
なのに貴方はどうしてこんなにズケズケと入って来るの。
…私の心をまた掻き乱すの?
「…さっき父は再婚相手と一緒だった」
「…ああ」
「七年前…父は二十歳以上も下の女に骨抜きにされて…母と私を捨てたの…」
「…………」
話したくないのに、話したって仕方がないのに、次から次に言葉が喉から出てしまう。
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