君伝3…7章 キス、しようか?

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そのメールはすぐに彼のスマホに届けられる。 震えるスマホを取り出して彼女からのメールを確かめて、 「……負けた、か」 そう呟いて濡れた髪をタオルで乱暴に拭いた。 来たばかりのメール。 今なら家を出る前かもしれない。 だからすぐさま電話しようとして、彼は指を止めた。 こんなメールを送ってくるというのは、もしかしたら今は話したくないのかもしれない。 かけてくるなという合図かも、なんて考えながらスマホをベッドに放る。 「泣いた、かな?」 泣き虫な彼女のことだから、きっと泣いただろう。 だからといってその涙を拭うことは出来ない距離に自分はいる。 「……結構役立たずだね」 そう呟いて、またタオルで濡れた髪を乾かした。
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