君伝3…7章 キス、しようか?

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「なにそれ」 シェリーの声には苦笑しか出来ない。 「うまく話せないんだ。ちゃんと顔も見てるのに――」 彼女が見せるのは作った笑顔と、困ったような表情だけ。 「なら別れかれちゃえば?」 「え?」 「だって楽しくないんでしょう? 無理して付き合うことないんじゃない?」 「……」 確かに楽しくはない。息苦しくて逃げ出したくなる。それでも、彼女のことが気になって仕方ない。今、どうしてる? とか、なにを考えてる? とか。そんな自分の考えがまた鬱陶しくて仕方なくて――。 「始まったらいつかは終わるものよ。特に恋愛はそのターンが短いわ」 「……そうだね」 今まではそうだった。だけど彼女とは違うと思っていたのに。 もしかしたら、例外なんてないのかも知れない。 「でも、それでいくとシェリーと付き合ってもいずれ別れることになるね」 「そうね。だけど付き合ってるときが楽しいならそれでいいわ。しないで後悔するより遙かにましな人生だと思わない?」 そんな前向きなシェリーの言葉は心地よく聞こえてくる。だから、 「かもね」 「でしょ?」 そう言って二人で笑いあった。
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