君伝3…7章 キス、しようか?

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明確に分かるのは目の前のシェリーが自分を欲しいと言ってくれてるということだけで……。 「好きだ」という言葉はなんて甘美なんだろう。 自分の存在を肯定してくれて、認めてくれる。 だから付き合いたくなるし、欲しくなる。 彼女は? 今でも自分を必要としてくれてるんだろうか? 惰性なんかじゃなく、欲しいと思ってくれてるんだろうか? 「リョウ」 コトリと置かれるグラスにはネイルの施された綺麗な指がある。 「今回は特別。少しだけ待ってあげる」 そして、その指の持ち主は蒼い目を細めてそれは美しい笑みを見せた。 「だから、日本に帰りなさい。そして、彼女と別れてくるの」 別れる。 それは終わりと同じ意味だ。 それがベストなんだろうか? 自分にとって、彼女にとっても――。 「そんな簡単には帰れないよ」 ここはアメリカで帰るには飛行機に乗らないといけない。それにはお金だって絡んでくるから。 「なんの為にバイトしてるの?」 「それはこれから一人暮らしするために――」 「安くていいとこ、あたしが紹介してあげる。ルームシェアって方法だってあるわ。その相手だって探してあげる。飛行機も格安のチケットを見つけてあげる」 「……」 「そろそろクリスマスね。学校も休みだし丁度いいわ」 窓の外は木枯らしが吹いて、枯れ葉が宙を舞う。 「クリスマスに生まれ変わって、帰ってきて」 その景色はまるで、映画のエンディングのように綺麗だった。
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