君伝3…7章 キス、しようか?

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「大学選抜、選ばれたらしいね」 聞こえてくる声に苦笑しながら、「よく知ってますね」と答える。 電話の相手は日本代表バスケの高杉コーチ。 「これでそれなりの結果を出してくれるとプッシュしやすいんだけど」 「まだこっちに入ったばかりだし、試合に出れるかどうかも分かりませんよ」 「出るでしょ? 君なら」 そんな声に苦笑する声が漏れてしまう。 「期待してるよ」 その言葉を最後に通話は切れてしまった。 「期待、か……」 バスケは好きだ。 でもそれは勝敗にこだわってるわけじゃない。 ただ、ボールに触れて走って、ボールの弾む音が、シューズのきしむ音が心地よいと思うから、 勝敗はその後だけど、勝てば勿論気分はいい。 だから練習して考えて強くなるための努力をしてきた。 それは昔から変わらない。 けど、何か大切なものを忘れてる気がする。
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