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「一回戦、勝ちました!」
飛び込んでくる彼女の笑顔に「良かったね」と凌も微笑む。
「相手は?」
「楠原です!」
「うん、買って当然だね」
「もう! 先輩にとってはそうかもしれませんけど、あたしたちには重要な一勝なんですよ?」
少しむくれる美穂に凌は微笑んだまま。
「で、次は?」
「2回戦は――」
続く言葉に耳を傾ける。
今朝の彼女の話はバスケのことばかり。
初戦を突破したのだから当たり前だけど……。
「あたしたち、か」
切れてしまったスマホを眺めて呟く。
その中に自分は含まれない。
そんなのは当たり前で、自分だって今はこっちのチームに身を置いてるのに――。
「リョウ――!! 今朝も長電話してるの!?」
そんなヒステリックなアリーの声に苦笑して、
「すぐ行くよ」
とスマホをポケットにねじ込んだ。
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