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「で、話してないんだ?」
バッシュの紐を結んでいる凌の隣にはチアーの格好をしたシェリーがいる。
「うん、なんて切り出して良いか分からないし」
「言わなきゃ分からないからね」
「……もしかして今の嫌みだった?」
「気のせいよ。でも、ちょっとくらい意地悪する権利はあたしにあると思うけど?」
そう言ってガムで風船を膨らませるシェリーに凌は「そうだね」と笑った。
バスケをしてるときはいい。
そのことに集中できるから。
「リョウ――!」
呼ぶ声に振り向きもせずパスを後ろへ、そのままゴール下へ飛び込んで――、
ガンッ!!
飛んできたボールをゴールに押し込む。
「いいぞ! それに比べトム! お前の身体はたたデカいだけか!? しっかりディフェンスを……」
ニックの声を聞きながらタオルで汗を拭く。
バスケは練習すればするだけ上達する。
体力だって自分次第だ。
だけど――。
「リョウ! 勝手に休むな! 追い出すぞ!?」
その声に「はい」と答えてタオルを放ると、またコートに戻っていった。
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