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ウィンターカップ出場まであと2つ。
それだけ勝てば去年と同じ舞台に立てる。
はずだったのに――。
鳴らされるブザー。
乱暴に投げられたボールはリングを蹴って跳ねていく。
「あ――っ!!」
コータが叫んで座り込むと床を両手で叩いた。
アキは足首にアイシングを当てた状態で俯き、
美穂は椅子から立ち上がったまま、ただ呆然とスコアボートを見つめていた。
これで高校最後のバスケは終わり。
零れる涙を拭いもせずスコアボートを見つめていると、
「ごめん」
そう言ってコータがタオルを差し出してくれた。
だけど、そのコータの顔も涙でぐちゃぐちゃだから。
「……コータが使ってよ、わっ!」
美穂がそう言って涙を手の甲でグイッと拭うと、そのままタオルを顔に押し当てられた。
「俺のは汗だし」
「……」
「ホント、ごめん」
そんな声に美穂はタオルに顔を埋めたまま頭を左右に振った。
誰かが悪い訳じゃない。
誰も手を抜かなかったし、誰も最後まで諦めなかった。
だからってそうすれば勝てるわけでもないことを知ってる。
それでも泣きたくなる気持ちは止めようもなくて……。
「ごめん、美穂ちゃん」
そんなコータの声に頭だけを降り続けた。
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