君伝3…7章 キス、しようか?

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負けることに慣れることはない。 家に帰っても気分は沈んだままでベッドに伏せる。 こんな報告、彼にすぐ出来る筈もなく、だからって時間も止まったりはしない。 夜になって、 「そっか、負けちゃったんだ」 そんな姉の声に無言で頷くと、「よしよし、よく頑張ったね」と頭を撫でてくれた。 夕食に食べたシチューの味もサラダの味も覚えてない。 その後、姉に勧められるままお風呂に入って髪を洗って、ドライヤーで乾かしもせず、またベッドにうつ伏せる。 その時、スマホがピコピコと点滅していたけれど、美穂は顔を背けてピローに顔を埋めた。 そんなことをすれば翌朝には後悔の思いでいっぱいになる。 だけどこちらが朝ならあちらは夜。 そして、 「美穂ー、パン焼いたわよ?」 今日は朝から予備校で、 「うん、ありが」 「うわっ! どうしたの、その髪。 爆発してるわよ?」 「……あ」 朝から忙しいから、 『昨日はごめんなさい。あと、昨日負けちゃいました。今日は一日中予備校です』 メールだけ、彼に送った。
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