1

10/10
前へ
/11ページ
次へ
 そのスーツ姿だけを見れば、何処にでも居そうな普通の男のように思えた事だろう。  男は公園に入ってきた俺を見付けると、立ち上がってこちらに歩いてきた。  立ち上がると、男はかなりの長身である事が分かった。俺も背は高い方なのだが、その男の方が拳一つ分ほど大きい。 「蕗辻様でいらっしゃいますね?お待ちしておりました。」  男は軽く頭を下げた。俺の目はさっきからずっとその頭に釘付けになっていた。  男は何の冗談のつもりか、白い覆面のような物を被っていた。顔の位置には、最近よく見るようになった顔文字がプリントされている。 「初めまして。私、カシカシマスの社員で貴方の担当となりました。ショボンと言います」 「………は、はぁ。」 「気軽に"ショボさん"とでもお呼び下さい!」
/11ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加