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駅周辺は小高い丘になっていて、団地へ降りて行くには必然的に坂や階段を下る事になる。
大通りから横路に逸れると、車道は程なくして途切れ、鉄製の車止めが行く手を塞いでいた。その先には幅の広い、長い階段があった。ずっと下の方に、二人の子供が居るのが見える。今日は平日だから、まだ小学校に通う年齢でもないのだろう。
階段を四分の一程下った所で、駆け上がってきた子供達と擦れ違った。
子供達は階段に立ち尽くす俺を見つけると、飛び退くように両側へ避けた。そのまま笑い声をあげながら俺の脇をすり抜けていく。
俺は振り返らず、のろのろと階段を降りた。晴れた陽射しが、俺の背中を焦がすように照らしていた。
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