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そして空いた一部屋にも、すぐに新しい生活が這入りこむ。何事もなかったかのように過ぎていく。最初から何も無かったかのように。
そう思うと胸が傷んだ。俺もきっとそうなるに違いない。
この一ヶ月の間に、妙に遠い所に来てしまったような気がする。ずっと先だと思っていた終わりが、今日か、明日か、それほど近くに迫っている。
唯一の救いは、その終わりを自分の意志で決めた事だ。
余り良い展開とは言いがたかったが、自分で幕を引けるならそれも悪くないと思った。
――いつの間にか、公園のすぐ近くまで来ていた。そこの角を曲がれば、もう公園が見えるはずだ。
疲れているせいか、不安のせいか、恐らく両方だろう。俺はやけに感傷的だった。
人は死に際すると感傷的になるものなのだろうか。たぶん、なるのだろう。
何の変哲もない結末を劇的にする薬味は、観る者の心だけなのだから。
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