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 公園の入り口横のフェンスには、『なかよし児童公園』と書かれた看板が括り付けられていた。  手書きらしい文字は掠れ、あちこち錆びている上に、留め具がわりの針金は朽ちて今にも落ちそうになっている。  子供達が遊ぶ様子が全く想像出来ないほど、その公園は寂れていた。野良犬の掘り返したらしき跡が、幾つか残ったままだ。  集合時間に少し遅れていたので、もっと人が居るものだと思っていたのだが、意外にも公園に居るのは俺の他に一人だけだった。  年齢は分からないがビジネスマン風のスーツを着た痩身の男が、窮屈そうにブランコに座っている。
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