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言質を取った理紫が、口唇の端を持ち上げて、可笑しそうに微笑みを浮かべたことなど、海月は知らない。
『よし!この話はこれで終わり。海月…、チューして?』
「え…」
『ちゃんと口だよ?』
階段の影で電話をしていた海月は、真っ赤になって思わず周りを見回してしまった。
今度は違った意味で、心臓がうるさく鳴りだす。
『…目ぇ、瞑った。海月、早く』
「嘘…、本当に?」
子機を握り締めながら、海月も瞳を閉じる。
瞼の裏に映るのは、大好きな…。
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