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もうすぐ3月になろうというのに、この町はまだ真っ白な雪に覆われている。
足場の悪い中、私は保険課の中塚課長と共に近所に住む顧客の家を目指していた。
「全く、とんだとばっちりだね。
部下である北谷さんが頭を下げに行かなきゃならないなんて。」
私の隣を歩きながら中塚課長が笑う。
「仕方ないですよ。
大川代理には逆らえませんから・・・。
それに今日は窓口が混み合ってて、たまたま手が空いていたのが私しかいなかったんでしょうし・・・。」
「俺から大川に話してやろうか?
自分の仕事は自分でやれ、って。」
「・・・いえ。結構です。」
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